道迷いを防ぐための地図の使い方の勘違い
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道迷いを防ぐための地図の使い方の勘違い
・道迷いには地図よりGPSの方が優れているか?
地図とGPSが比較されることがあります。完全に道に迷ってしまったとき、GPSがあれば、読図をすることなく液晶画面を見るだけで現在位置が判明します。 しかし、GPSにしても地図にしても、迷ったことを認識したときにするべき行動はひとつ。我々は、これまでに起こった不幸な山岳事故から、道迷いの後にするべき定石を学んでいます。歩いてきた道をただ引き返せば良いのです。迷った後の取るべき選択において、読図もGPSも関係ありません。 では、GPSや地図は、何に使うかといいますと、道に迷わないようにするために使います。もしくは、道に迷ったことがすぐに分かるようにするために使います。 GPSは迷ってからはじめて電源を入れるものではなく、常に電源を入れておき、現在位置を把握するのに使います。実際は、現在位置を確認するというより、どこまで歩いてきたか、目標まであとどれくらいあるかを知るために見ることが多いです。それが結果としてルート上にいることを確認していることになります。そのようなとき、GPSは読図をすることなく、現在位置を知ることができるので大変便利です。 加えて、地図を使ってルート上の特徴を読み取り、先の予測ができていれば、道迷いの疑いを早期に発見できます。 GPSと地図を使うことで、道迷いに早く気づき、防止することができます。 ・読図は3次元情報+時間軸
読図では、周囲の地形と、地図の等高線を照らし合わせて、現在位置を推定するという話が言われます。山登りというのは、場所の判明している登山口や宿泊地からスタートします。山中のどこか分からない場所から突然歩き始めることはありません。歩き始めると、周囲の景色は、刻々と変化していきます。 実際の読図シーンでは、歩いてきたルートの経過が、現在位置を推定する重要なヒントになります。 過去と、現在と、これから先の予測、そのことを抜きにした読図法は、現実的とは言えません。書籍やウェブサイトでは、時間軸を無視した瞬間的な読図の解説が見られますが、実際は地形の起伏という視覚による3次元情報に加えて、もう一つの視点、時間軸を加えて考えなければなりません。 これは、普段読図をしている人に言わせると、当たり前のことと言われるかもしれませんが、読図を型にはめて考えていると、そうした当たり前のことに気が付かないことがあるかもしれません。 視野を広くする。例えば、北に向かって歩いていることを予想しているときに、太陽が正面にあったとしたらどうでしょうか?視界がきかない時は、読図ができないでしょうか? ・登山道を外れたことを知るのに、地図やコンパス、GPSを使うまでもない
一般的な登山道を歩いているとき、登山道を外れたことは、GPSはもちろん、地図やコンパスがなくてもすぐに分かります。人の歩かないところというのは、なにかしら違和感があります。岩は角が立っていて、土の斜面は踏むと崩れます。平坦な場所でも、踏み固められていない地面は、感触が異なります。木の枝は、人が触るので、表皮が剥けたりして、手で持った形跡があるはずです。 誰も歩いていないようなところは、岩が動く、倒木がある、段差が大きい等、障害だらけでスムーズに進めません。 山を歩いているとき、些細なサインを見逃さないことが大切です。何かおかしいということに早く気づき、辺りを見回して正しいルートを探してください。ほとんどの場合、あなたの直感は正しいです。 もしも、人の歩いていない可能性がある場所にあえて入る選択をしたときは、過剰なほどの警戒が必要です。注意していても足を取られることがあります。北アルプス穂高などの急峻な岩場では、僅かなルートロスで足元が岩崩を起こし、致命的なことになります。 ・道に迷ったら分かるところまで戻る方が楽
道に迷ったら分かるところまで戻るのが鉄則です。下山途中で間違った尾根に入った時など、元のルートに戻るには下りてきた道を登り返さなければなりません。重たい荷物があるときなどはやりたくない気持ちになります。 しかし、実際は元の道に戻るのは、思っているほど大変ではありません。ピストンで登山をしたことがある人は、行きと帰りで、距離感が異なる経験をしたことはないでしょうか?一度通った道は、もう一度歩くと短く感じるものです。 少しでも楽をしようと、ショートカットして、本ルートに復帰することを考えるかもしれません。その距離が長い場合は、もちろんやめたほうがいいですが、短い時でも、人の歩いていない場所を歩くというのは、想像以上に楽ではありません。気持ちに焦りがあるので、危険もあります。 ここはひとつ、ため息でもついて、素直に来た道を戻るほうが、99%楽です。 ・予備の地図を持つ
地図は登山に絶対に必要な装備のひとつです。持っていないというのは非常識と言っていいでしょう。地図はポケットなどに入れて頻繁に見られるようにしておいてください。よく使う分、紛失したり、破損するリスクがありますので、予備を作成することをお勧めします。複数枚印刷したり、コピーしてください。単なる紙切れなので、予備を持っても重量増はほとんどありません。 紙は水濡れに弱いので、ジップロックに入れるなど防水対策をしておくと安心です。 地図がなくなって不安な山行を継続するより、備えあれば憂いなしです。 |
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